Lisboa/ Portugal

撮影: 1995/7, 制作: 2014/11, 改訂: 2019/11

インターネットが普及する前の時代、我々が得られる海外の情報は極めて限られたものでした。2軸のポール集電のトラムが坂道を駆け登っている映像をTVのコマーシャルで見たことがあり、ただそれだけの情報を元にポルトガルを訪問しました。期待に違わず、リスボンにはオールドタイマーが走り回っていました。

Jardim Amoreiras, Lisboa, 1995/7/4


1995年7月現在の路線図です。Carris (カリス)が運営する6系統のトラムが走っていました。

		リスボンのダウンタウンにあるBaixia(バイシャ)地区です。東側の丘の上に見えるのが、有名なサン・ジョルジェ城です。 ここは、[25]及び[15]系統の終点になっていました。電停名は Pç. Figueira(フィゲイラ広場)です。欧州の夏は日没が遅く、午後8時でも日中のように撮影できました。 1995/7/3
		上掲から反対方向、西側を見ています。大きな建物の後方、丘の上に住宅が見えます。ダウンタウンは東西の丘に囲まれた盆地のような地形に広がっています。 1995/7/4朝
		フィゲイラ広場で見かけた西独MAN製の1979年製SL200F形バスです。車体はポルトガルのボディメーカー、サルヴァドール・カエターノが架装しました。同社はトヨタ製乗用車のノックダウン生産もおこなっています。 正面のデザインは日本の西工製カマボコ車体に似ていて、親しみが持てます。また先頭の三角側窓は、いすゞのLV系路線バスを連想してしまいます。
		784号に乗ってトラムの旅を楽しみました。 この車両はトラムの運営会社カリスが1920年代に自社製造したものです。前向きに固定されたシートが24席の小さな車両です。
		リスボンの中心地から西北にあるJardim Amoreiras(アモレイラス庭園)には、ローマ時代の水道橋があります。この橋の下をくぐる通りを[24]と[25]系統が走っていました。 この車両は1901年に米セントルイス車両で造られました。ダブルルーフにオープンデッキのスタイルをしています。1965年に復元整備されて、観光用に使われています。 ※リスボンのトラムは1873年に馬車鉄道として開業、1900年に電車化されていますので、まさに黎明期の車両と言うことになります。
		水道橋の下をよく見ると、複線の線路が分岐器を介さずに互いに重なっています。いわゆるガントレットです。日本では絶滅しましたが、リスボンでは数ヶ所で見ることが出来ました。
		同じ場所で少し遠くから水道橋を見ています。こちらは[25]系統のCarmo(カルモ)行き、785号です。
		アモレイラス庭園から少し南へ下りた、São Pedro de Alcântar(アルカンタラ)の電停です。道路脇の大きな木が印象的でした。
		同じ場所で振り向いて撮影しました。 [24]系統はこのまままっすぐ坂を下って、南の終点 Cais do Sodre(ソドレー埠頭)を目指します。 一方[25]系統は、途中で左折してカルモへ向かいます。
		[24]系統の東の終点、Alto de São João(アルト・デ・サン・ジュアン)にあるループ線です。以前は、この先さらに線路が伸びていて、サンタ・アポローニア駅を経由する大きな循環線を形成していました。残念なことに訪問する直前に廃止されていました。冒頭の地図をご参照下さい。
		同上、終点のループ線を一周して、始発電車になったところです。行き先表示はCais Sodréになっています。
		同じくアルト・デ・サン・ジュアンです。冒頭の写真の544号が停まっています。片運転台の車両で、後面にはヘッドライトがありません。
		所変わってこちらは[25]系統の終点、Carmo(カルモ)です。広場に造られたループ線ではなく、4本の道路を一方循環することで方向転換しています。
		Carmoのループ線を回って出て行く[25]系統です。 ※訪問直後の1995年、[25]系統のS.Carvalho(カルヴァーリョ)からカルモに至る区間が廃止されました。この結果[25]の西の終点は[28]と同じくPrezeresに変更されました。 同時に[24]系統は全線が廃止になり、水道橋の下を走る路線はなくなりました。しかし幸いなことに2018年、Campolide(カンポリデ)とLuis Camões( ルイス・カモエンス広場)の区間で[24]が復活しました。23年ぶりの快挙です。

		カルモはバイシャのすぐ西に聳える丘の上にあります。トラムを使うと大回りになりますが、サンタ・ジュスタのエレベータを使えばすぐに行くことができます。このエレベータもトラムの運営会社Carris (カリス)の経営で、乗車券を購入して乗ります。 エレべータで登った出口に、ミイラが眠っているカルモ修道院の遺蹟があり、その門前が上掲2枚の場所です。
		エレベータとトラムの切符、いずれも縦長の硬券です。

エレベータで登ったカルモの展望台から眺めた市街地です。丘の上にサン・ジョルジェ城が見えます。 リスボンのトラム(2)に続きます。