京福電鉄嵐山線

撮影：1968～2019年　制作：2021/12

嵐電(らんでん)の愛称で親しまれている京福電鉄嵐山線です。路面併用区間があるので、市電の仲間です。沿線には多くの観光地があり、地域住民の他に多くの観光客が利用しています。
開業は1910年(明治43年)、支線の北野線を合わせた路線の総延長は21kmです。まずは半世紀前の写真からご覧下さい。戦前に造られたアンティーク車両が走っていました。
1968/10/19, 102号, 嵯峨野

朝のラッシュ時、2両運転です。先頭は124号、その後に102号が繋がっています。
1968/10/20, 嵯峨野。　※1975年、嵯峨野駅は有栖川駅に改称されました。

102号と117号の並びです。102号は1929年、117号は1932年にそれぞれ製造されました。
1968/10/19, 帷子ノ辻。　※現在の帷子ノ辻駅は、ホームを覆う形にビルが建っています。

帷子ノ辻駅に進入する嵐山行き124号です。この車両は1937年に造られました。この駅で支線の北野線が分岐します。背景の建物は、「太秦病院へ行けば何とかなる」と言われた評判の病院です。　1968/10/19, 帷子ノ辻
※太秦病院は天神川へ移転して、跡地はうずまさ診療所になっています。

終点の嵐山駅ホームです。ねんねこの子守姿は、ごく日常的なスタイルでした。人物と車両は変わりましたが、今も周りの風景はほとんど昔のままです。
1969/3/18, 129号, 嵐山

定番の広隆寺門前風景です。集電用のポールがあるので、電車の後ろ姿も見栄えがします。
窓越しに詰襟の制服を着た車掌さんが見えます。それにしても山門の前にある白い電柱は目障りです。せめて文化財の前だけは地中化してほしいですね。
1969/3/18, 129号, 太秦
※撮影から50年以上が経過しましたが、情けないことに相変わらず電柱が立っています。
※2007年、太秦駅は太秦広隆寺駅に改称されました。

天神川に架かる鉄橋で、129号のサイドビューを撮影しました。運転室ドアが片側にのみ付いていることが分かります。反対側も同様で、180°の点対称になっています。
1969/3/18, 山ノ内～蚕ノ社　※嵐電天神川駅はまだありません。

三条通は路面併用区間になっています。人一人がやっと立てる幅の安全地帯がありました。
1969/3/18, 126号, 山ノ内

四条通を交差する127号です。四条通にはトロリーバスが走っていましたので、トロリーバス側の架線に絶縁体で造られたデッドセクションが設けられていました。
1968/10/21, 西院　※阪急は「さいいん」、嵐電では「さい」と読みます。

ここからは北野支線、終点の北野白梅町駅です。2線3面の立派な駅で、採光を考えたドーム状の屋根が特徴でした。中央奥、改札の向こうが今出川通です。1958年までは、この通りを北野天満宮の前まで走っていましたが、路線を市電に譲渡しました。この駅舎はその時に建てられたものです。子供達が車両先頭に陣取って、楽しそうに発車を待っています。
1968/10/21, 129号/125号, 北野白梅町
※2021年に駅舎は西側に移転・新築され、1線2面の新しい姿になりました。

北野線は一部区間を除き単線で、専用軌道を走ります。等持院、竜安寺、妙心寺と京都を代表する有名寺院の名前が駅名に付けられています。　1968/10/21, 103号, 等持院
※2020年、等持院駅は等持院・立命館大学衣笠キャンパス前駅に改称されました。あまりに長すぎて違和感がありますね。因みに改名時は長さ日本一でしたが、2021年に首位の座を富山地方鉄道に明け渡しました。

高雄口を出発する123号、北野白梅町行きの後ろ姿です。　1975/4/8, 高雄口
※2007年、高雄口駅は宇多野駅に改称されました。確かにここから周山街道を通って高雄へ行くことは出来ますが、あまりにも遠いため苦情があったそうです。

上掲と同じ高雄口駅を国道から俯瞰しました。交換設備があった時代の対向ホーム跡が見えます。車両は1971年製の301号、久々の新車です。撮影時はポールによる集電で、日本最後のポールカーと言われました。
1975/4/8, 高雄口。

有名な日本一の車窓風景、鳴滝・桜のトンネルです。　1973/4/8, 鳴滝～高雄口

同上、ポール電車の後ろ姿です。当時はこんな線炉端で自由に撮影が出来ました。お天気に恵まれて、まさに至福の一日でした。

「うわ～っ!!」、窓の開く特等席から子供達の歓声が響きます。皆、楽しそうですね。3つの窓の一番右が運転席で、あとは自由に乗れるパノラマカーでした。

桜のトンネルをくぐる126号、白黒フィルムで撮影したお気に入りの一枚です。

上掲から半世紀が経過しました。鉄道ファンだけでなく、一般の観光客も桜のトンネルを訪れるようになりました。後ろ姿は中国人です。桜の木が少々老木化しているのが気になります。
車両はレトロ調の26号、1994年に平安遷都1200年を記念して造られました。
2019/4/4, 鳴滝～宇多野

もう一枚、最近撮影した桜の写真です。車両はすっかり新しくなり、京むらさきと呼ばれる色に変わりました。車両は2001号、嵐山線開業90周年を記念して造られました。IGBT素子を使ったVVVFインバータ制御の最新型です。　2019/4/6, 竜安寺

路面区間を走る最近の写真です。体操の平均台のような安全地帯は、昔とまったく変わっていません。昔の写真はコチラです。　2015/5/27, 山ノ内