京阪電鉄京津線

撮影：1969～2020年　制作：2021/11

京津線は三条と浜大津を結ぶ全長11kmの路線です。1912年に開業しました。一部未開通区間があって、浜大津まで全通したのは1925年です。路線には路面を走る道路併用区間があるため、路面電車の仲間になります。
ここは京都方の終点、三条駅に進入する80形です。三条京阪前には多くのバス路線が集結し、京都を代表する一大ターミナルでした。　1969/10/10,

各駅停車の電車は三条～四宮の運行で、ポール集電の卵形車両が単行で走っていました。
1969/10/10, 九条山

大勢の乗客を乗せて疾走する80形を流し撮りしてみました。車体側面に70年大阪万博のステッカーが見えます。　1969/10/10, 蹴上～九条山

こちらは2両編成の急行電車です。三条から浜大津を経由、石山坂本線に乗り入れて石山寺まで走っていました。車両は260形の279号、1963年の製造です。高床車なので路面区間の駅では乗降できません。　1969/10/10, 京阪山科

この日は、たまたま「びわこ号」に遭遇しました。日本初の連接車で、京阪本線と京津線の双方で走行可能な画期的な車両です。1934年に3編成が造られ、大阪の天満橋から浜大津までの直通運転に使われました。　1969/10/10, 蹴上

国内有数の勾配、66.7‰の坂道を下る80形です。路面電車でありながら、京津線は登山電車の一面も持っていて、発電ブレーキを装備しています。
上掲より時代が10年ほど経過してますので、集電方式がパンタグラフに変わり、固定の2両連結になっています。　1978/7/23, 九条山

小雪が舞う山あいの駅に停車中の260形です。ホームの案内には、京都三条に加えて「大阪、ひらかた方面のりば」の文字が見えます。後方の高架は名神高速道路です。
1978/1/22, 追分

上掲からさらに20年近くが経過しました。フィルムはカラーになりましたが、京津線は昔と変わらぬ姿で路面を走っていました。　1995/10/10, 京津三条

京津線の2番線ホームに、80形の各駅停車が入ってきます。
1987年に京阪本線の三条駅が地下化された関係で、地上に残った京津線の駅は京津三条という別名になっていました。2番線は、分離前の旧6番線です。　1996/12/13, 京津三条

三条通(旧国道1号線)には、両側に見事な銀杏並木がありました。残念なことにこの区間は、地下化により廃止されてしまいました。　1995/11/26, 蹴上～東山三条

行楽シーズンには、多くの観光客が京津線に乗って、南禅寺や哲学の小径を訪れました。乗客が狭いホームからあふれています。　1995/11/26, 蹴上

80形の勇姿です。いつ見ても優美な姿にほれぼれしますね。　1995/11/26, 蹴上

京津線には電動貨車も走っていました。専用軌道区間に使うバラスト(砂利)を運んでいます。京津線は日ノ岡と御陵(みささぎ)の間も道路上を走っていました。
1996/12/13, 御陵

滋賀県側の路面区間です。路面区間はここから奥の突き当たり、浜大津まで続いています。
車両は600形の611号、1987年に260形の車体を流用して造られました。武骨な260形がスマートな半流線形に変身し、京津線初の冷房装置を搭載しています。
1993/12/4, 上栄町～浜大津

1997年10月12日に、京津線は新しい時代を迎えました。御陵から西側の区間が地下化され、京都市営地下鉄に乗り入れるようになりました。車両も新製された4両編成の800形に置き換わっています。琵琶湖をイメージした水色の電車が、逢坂山の峠を下って行きます。
2017/9/3, 大谷

雪の中、R=45mの急カーブを曲がる800形です。連結面が広く開いて、まるで模型のレイアウトを見ているようです。逢坂山の峠を越えて、この先は61‰の急勾配になります。
2019/1/27, 大谷～上栄町

カーブ区間ではレールの軋み音を軽減するために、スプリンクラーが設置されています。山岳路線で有名な箱根登山鉄道では、同じ目的で車体に水タンクを搭載していますが、京津線では地上の設備で対応しています。　2016/8/8, 上栄町

夜の大津市内を走る800形です。車体の下に設けられた安全灯が濡れた路面に光って、幻想的な雰囲気になりました。　2017/2/5, 浜大津～上栄町

毎年秋に開催される大津祭では、13基もの曳山が市内を巡行します。運良く、電車とすれ違うシーンに遭遇しました。

※残念ながら現在では、安全のためと称して巡行の時間は電車を止めています。それでなくても警備員の数が多くて、興ざめします。 2009/10/11, 浜大津～上栄町

終点の駅に入る800形を、交差点のビルから俯瞰撮影しました。ここも急カーブになっています。左に合流する石山坂本線のレールが見えます。2018年3月、「浜大津」は「びわ湖浜大津」に駅名が変わりました。　2019/1/26, びわ湖浜大津

大津市内の路面区間で800形同士がすれ違うシーンです。全長が66mもあるため、圧倒的な迫力があります。京阪電鉄全体のコーポレート・カラー統一に伴い、京津線の塗色も2017年から新カラーへの移行が始まり、2020年に完了しました。個人的には、水色の方が似合っていたと思います。　2020/7/11, びわ湖浜大津～上栄町