豊橋鉄道市内線は1925年に開業しました。全長5.4kmの比較的小規模な路線です。別名、東田本線と呼ばれていますが、以前に柳生橋支線が存在した名残りです。

まずは、1969年に訪問したときの写真を紹介します。 丸物デパートの屋上から俯瞰しています。左が豊橋駅で、広い駅前広場を挟んだ道路上に駅前電停がありました。線路はこの先、松葉町の市民病院前まで延びていました。 ※1969年5月、駅前～市民病院前は運行休止になり、同時に駅前電停が画面の右手前方向へ移設されました。尚、市民病院は1996年に、青竹町に移転しました。 ※丸物はのちの豊橋西武、現在はココラフロントになっています。 1969/2/23, 駅前

武骨な外観の3701号です。3700形は元名古屋市電の1200形で、1927年製造の大型ボギー車です。当時の名古屋では後継タイプで長尺の1300形が走っていましたが、1200形は豊橋へ来ないと見られませんでした。 1969/2/23, 新川

3901号は元名古屋市電の1150形です。1150形は1944～48年に造られた高床車ですが、ほとんどが名古屋時代に通常の床高に改造されています。しかし豊橋鉄道へ譲渡された1150形はオリジナルの高床車でしたので、名古屋では見られない貴重な姿でした。 1969/2/26, 駅前

3805号は元名古屋市電の900形です。良く知られているように呉市電の注文流れを名古屋市が買い取り、クレに因んで900形としました。特徴的なスタイルとして、前後の扉が外吊り戸になっています。呉市の仕様では折戸になっていたものを、導入後に改造しました。写真では見にくいかも知れませんが、ドア上の小さな戸袋やステップ下に扉用レールがあります。堺市にあった木南車輌が、戦時中に造った異色の車両です。名古屋ではすでに走ってなかったので、豊橋で見たときは感激しました。 1969/2/26, 駅前

こちらは3601号、元三重交通神都線の541形、1927年製です。1961年、同線の廃止に伴い豊橋にやってきました。 ※2013年、三重交通の伊勢市～内宮に神都線の電車を模したバスが登場しました。そのバスのモデルになったのが神都線の541形です。 1969/2/26, 新川～駅前

平屋根の豊橋駅を背に駅前大通を走る3602号です。これも元神都線の541形です。当時の豊橋の車両は、全てが他社からの中古で、まさに旧型車両の宝庫でした。 1969/2/26, 新川～駅前

こちらは柳生橋支線です。新川から分岐して田原街道(R259)を南下、豊鉄渥美線(鉄道線)の柳生橋駅まで走っていました。車両は元名古屋市電1200形の3704号、鉄道線の塗色と同じく、クリーム地に赤帯を巻いています。柳生橋支線は1976年3月に廃止されました。 1969/2/26, 松山

1年後に再訪したときのスナップです。車両は元名古屋市電900形の3802号です。 1970/6/12, 競輪場前

ここからは最近の写真です。 1998年に新しい線路が駅前広場に乗り入れるようになりました。新川方の大通りにあった駅前電停が移設され、乗降と駅へのアクセスが格段に改善されました。全国的に淋しいニュースが続いていた路面電車の中で、復権に向けた画期的な取り組みです。 2010/9/18, 駅前

広い道路の中央を電車が走ります。駅前から東八町に至る区間は、架線柱がセンターポールになっています。車両は名鉄岐阜市内線から譲渡された780形です。同線の廃止とともに7両全てが豊橋へやってきました。車両の番号も名鉄時代のままです。 2010/9/18, 市役所前

歩道橋から敷石のある坂道を俯瞰しました。豊橋は平坦な地形ですが、この区間だけ坂道があります。 2010/9/18, 前畑

上掲の坂道を下る3202号、元名鉄美濃町線の580形です。 2010/9/18, 前畑～東田坂上

1970年に撮影した白黒写真と同じ場所で、3501号を撮影しました。元東京都交通局の7000形です。前面の大きな1枚ガラスが特徴的です。ここから手前側、井原方面は単線になります。道路はきれいに舗装されていますが、街の雰囲気は40年前と余り変わっていません。 2010/9/18, 競輪場前

井原の交差点を曲がる786号です。このカーブはR=11m、日本最小の曲率半径で知られています。オーバーハングが道路側に大きくはみ出しています。 2010/9/18, 井原

井原の交差点から分岐して南へ行くと、運動公園前に至ります。この支線は1982年に開業しました。車両は元名鉄岐阜市内線の783号です。岐阜と異なり豊橋には立派な安全地帯がありますが、乗降用のステップが使われています。岐阜で使われていた連結器は撤去されています。 2010/9/18, 運動公園前

東田本線の終点で憩うT1001号です。2台車3車体の低床式連接車で、ホットラムの愛称があります。富山地鉄市内線のサントラム・T100形と同型車で、2008年に導入されました。 1925年の開業時を除くと、これまで全ての車両が他社からの譲渡車両でしたが、久々の自社発注車となりました。 2010/9/18, 赤岩口

上掲T1001号の車内です。扉や窓配置など、富山のT100形と全く同じです。

夜の街を走る786号です。明るい照明のある場所を探し、パンタグラフが目立つように注意を払って流し撮りしました。 2014/11/22, 駅前　※豊橋駅前ではなく駅前が正式な電停名です。

冬の豊橋名物、おでん電車の「おでんしゃ」です。おでんを肴に地酒を飲みながら市内を巡るツアーは大好評です。塗色を含む外観が、何となく居酒屋の雰囲気を出していますね。 2014/11/22, 駅前

夜の街を走る「おでんしゃ」です。3203号(元名鉄美濃町線580形)が使われています。 2014/11/22, 駅前

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