中国水泥孔山砿のナロー鉄道

Nanjing / China

撮影: 2015/3, 制作: 2019/3, 改訂: 2023/6

2015年3月、江蘇省南京市郊外にある石灰石輸送の専用鉄道を訪問しました。海螺集団中国水泥孔山砿で採掘した石灰石を、軌間762mmのナローゲージ線路で約13km離れたセメント工場まで運ぶ鉄道です。また、孔山砿には電化された上部軌道があって、原石を運び出して専用鉄道に積み替えていました。

Kongshan chezhan, Jiangning,Nanjing, 南京市江寧区孔山車站, 2015/3/20

Google Mapsの上に、海螺集団中国水泥孔山砿専用鉄道の路線を赤線で記入しました。この鉄道は、地下鉄2号線の終点・経天路駅から数km西側に位置し、大変不便なところにあります。長江(揚子江)にも近いのですが、不思議なことにこの専用鉄道は国鉄線にも長江にも繋がっていません。
近くには江南小野田水泥の専用線があって、新河路付近で立体交差しています。今回の訪問時は、残念ながら運休でした。

※地図には載せてませんが、2017年になって地下鉄4号線が開業しました。専用鉄道と地下鉄2号線の間を走っていますので、訪問が楽になっています。しかし大変残念なことに、2019 年2月から孔山砿専用鉄道は運行停止になっています。

※専用鉄道の中間に駅はなく、カッコ書きは撮影場所の地名です。

		最初に採掘現場と積み出し設備を結ぶ上部軌道をご紹介します。構内の踏切に汽車のマークが描かれていました。実際には上部軌道は電化されていて、電気機関車が走っています。 2015/3/20
		軌道を補修しています。コンクリート枕木の立派な道床です。曲線レールのつなぎ目が直線になっているように見えるのは、気のせいでしょうか。
		しばらくすると、鉱石を積んで採掘場のトンネルから列車が出てきました。15分間隔ほどの頻繁さで運転されていました。
		こちらは門を通って、採掘現場へ向かう列車です。機関車の付け替えをしないので、帰りは推進運転になります。

8両の貨車に鉱石を満載した列車がやって来ました。機関車と貨車との間には、棒連結器が使われています。
少々かすんでいますが、背景に採掘のために削られた山肌が見えます。

		上部軌道で使われている電気機関車の銘板です。仕様がこと細かく記載されています。後半にご紹介する専用鉄道の軌間が762mmであるのに対し、上部軌道の軌間(軌距)は900mmとなっています。 ※电机车は電機車の簡体字です。機械の機に机の文字を宛てているので、例えば飛行機は飞机と書きます。つまり机が空を飛びます。
		積み出し用のホッパーが奥に見えます。この中へ鉱石を落とし込みます。手前の装置が貨車を傾ける仕掛けです。
		プッシャーが作動して貨車の上部を持ち上げ、鉱石をホッパーへ落とし込んでいるところです。
		ここからは専用鉄道になります。上掲のホッパーから落とされた鉱石が、貨車に積み替えられています。

積み出し用のホッパーの下で待機するのは、常州製のWHY380ディーゼル機関車です。このタイプは、中国各地の鉱山鉄道で広く使われており、緑色の塗色も共通です。

工場から空車を牽いて、孔山車站のヤードへ別の機関車が戻ってきました。

運転士が乗り込んで、出発の準備をします。

石灰石を積んだ列車が工場へ向けて出発します。機関車は全部で3両、順次貨車を仕立てて続行運転になります。

		孔山車站を出た列車を新河路付近の踏切で撮影しました。ここは線路脇の木々が覆い茂ってトンネルのようになることで知られていますが、ちょっと季節が早かったようです。
		江南小野田水泥専用線とオーバークロスする地点です。小野田側が上を走っていますが、この日は運休だったので線路に登って俯瞰することが出来ました。

		上掲と同じ場所で、反対側を見ています。このあたりはのんびりとした田園地帯が続きます。
		専用鉄道の北側部分、宝華地区まで来ると、景色は一変して古い町の中を走ります。ごちゃごちゃした家並みの裏側を、重量感あふれる鉱石列車が通ります。

		線路と道路が複雑に交差していて、途中には何箇所も踏切があります。三輪タクシーが通り過ぎて行きました。右端のおじさんが踏切警手です。
		上掲の踏切を列車が通過していきます。この先工場まではもうすぐの距離ですが、日没で訪問を断念しました。まことに惜しいことをしました。【謝辞】訪問に際しては、中国ナローの鬼、先達の一路順風!氏に並々ならぬお世話になりました。深く御礼申し上げます。一路順風!氏のH/P「你好，小火车！」もぜひご覧下さい。

【追記】
残念なことに中国水泥孔山砿は2019年に操業を停止し、鉄道も廃線となりました。また、交差していた専用鉄道のある江南小野田水泥も同年に閉山しました。